さあ、サーベルフィッシュの開幕だ!

今や船釣りの主役になったタチウオは夏の浅場から本格化!

タチウオ……カタカナで書くと想像しにくいが、漢字表記の「太刀魚」と記せば、なるほどとうなずける魚。文字通り刀のような魚で、かつては模造真珠に使われていた銀色(グアニン)の魚体色がさらに刀っぽさを助長している。英名ではサーベルフィッシュとも。総じて魚類の中では異色の存在だ。

武器系の名に恥じぬ(?)くらい気性も荒い。フィッシュイーターでイワシなど小魚を鋭過ぎる歯でバクバクと食う。こういう好戦的な魚は釣りには持ってこいで、昔から東京湾の船の餌釣りのほか東海の堤防群での夜釣り、西日本での船のテンヤ釣りと、多種の釣り方があった。昔の東京湾では幽霊魚のあだ名もあったが、それは冬の深場を狙う難しさと、魚探に映りにくく神出鬼没だったため。基本的には積極的に餌を捕食する魚で、近年は夏に浅場で好釣できることが判明してから各地でジギングにも火が付き、結果として大人気魚種へと成り上がった。

生息域は関東から以南で、1m以上に大型化する。サイズを指の本数の幅で表すのが定番化しており、大体5本以上はかなりの大型。釣りビジョンで名手ヨッシー(吉岡進)が出演する同局初のタチウオ専門番組「ドラゴン8」は、文字通り指8本のモンスターをターゲットにする番組だ。近似種に大型化するテンジクタチウオ、オキナワタチウオがいるが、これらは2m以上にもなるという。

最近ではタックルなどの進化により、一年中狙っているエリアも多いが、一応のパターンとしては夏の浅場の小型から始まり、徐々に水深を深めながら秋、冬へと至って2月くらいには終盤を迎える。ただし、現代ではかなり繊細な釣りが可能になっているので、そのまま春先の3月4月までなだれ込むことも。西日本ではそのまま通年で狙っているエリアも多い。ただし、数と型はほぼ反比例しており、数釣りなら夏から秋、型狙いなら晩秋から冬がメイン。入門するなら浅くて数も出て難易度も低い、これから夏が最適と言えよう。

また、容姿の割には美味しいことも人気のひとつ。さらに若干小骨が多いとはいえ、ウロコがないのでヒク必要もなく、ヒラヒラの背ビレ両脇に包丁を入れて背ビレを引き取ってしまえば、後はブツ切りか、その後に中骨をすくだけで、食べやすい身となる。こういう処理の手っ取り早さは、ご家庭でも喜ばれるから、たくさん釣っても大丈夫。皆さん頑張って釣りまくってください。ただし、歯が超危険なので船内に取り込んだら要注意。まずはタオルなどで頭部を押さえ込んだら、魚バサミなどでエラ付近を挟んでクーラーへ。間違っても真ん中付近の中途半端な所を持たないこと。グルっと反転して鋭い歯の口が向かってきますヨ。

天秤で狙う餌釣り

主に東京湾の日中釣りや駿河湾の夜釣りで発展してきた釣り方で、片天秤にサバやコノシロ、サンマなどの切り身を使う。東京湾では昔は冬限定の釣りで、深場にいるタチウオを狙ったため、オモリが120号と重く、また魚探に映りにくい魚なので、釣果に波がある難しい釣りであった。一方、駿河湾は夜釣りなので魚が浮き、比較的釣りやすいジャンルではあった。

東京湾では近年、新素材道糸の進化などによりライトタックル(LT)化すると、やにわに釣りやすくなり、加えて夏場も浅場(10~30m)で小型がバリバリ食うことが分かって以来、大ブレーク。瞬く間に人気が沸騰し、LTタチウオ専用竿に片天秤の1本バリというスタイルで好釣果を連発。道糸1号で浅場のオモリ30号、同2号で深場のオモリ60号か80号が定番で、この組み合わせで浅場から深場までいいアタリが出るようになっている。駿河湾でもこの組み合わせはほぼ同じである。

釣り方の基本は指示ダナの下限から上限を一定スピードでスローリトリーブか、小刻みなシャクリを入れてのリトリーブ。アタリがあっても巻き続け、ググッと乗った時に聞き合わせをしてヒットを確認し、巻き始めよう。

伝統のタチウオテンヤ釣り

最近はサーベルテンヤなどと言われ、東海地方や瀬戸内海の日中釣りや夜釣りで流行のジギングと並んで盛んな釣法であるが結構、歴史は古い。ジグヘッドのようなオモリ部分から軸の長いハリが出ていて、そこにイワシなどを縛り付けて釣る。日中の泳層は低めで、底から上層20mくらいまで。夜釣りはタナが浮き上がり、中層から海面下10mくらいまでが狙いとなる。

基本的な釣り方は底まで仕掛けを落とし、低層(底から20mくらいまで)でソフトシャクリ&ポーズを繰り返すか、ジギングと同じようにワンピッチジャークの待ちを入れた強弱バージョンでゆっくりと上層へ巻き上げてくるか。餌が付いているので、アタリが断続的に続いてググッと食い込んだ時に合わせるか、小さなアタリの後に糸フケが出たのを即アワセしていたが、最近は変わってきた。巻き上げ中や静止時問わず、とにかく些細な動きを竿先で感じ取ったら即アワセ。最近はタックルが良くなっているから、思った以上に細かなアタリはよく出るようだ。

昨今人気のジギング

メタルジグを使うジギングはタチウオが生息するほぼ全域で行われており、人気も高い。ジグは大体100~150gを使用するのだが、一応ライトジギングの範疇に入る。よく引き合いに出されるシーバスのジグが60g前後だから、そのワンランク上のカテゴリーといえ、ライトジギングの中では最重量の部類といえよう。両魚の重さの違いは狙う水深がタチウオの方が深いため。日中では60~100m。夜釣りでも50m前後(アタリダナはもっと上層)なので100g以上が必要になるわけだ。

釣り方的にはそう難しくない。ただ、海が荒れていたり、いろいろな状況で小さな変化をキャッチできるかにかかっている。基本的にはサミングしての落とし込みでまず糸フケのアタリを取り、バイトしなかったらワンピッチジャークで巻き上げてきて、竿先の違和感をキャッチする。ジグのカラーやパターンに、アクションがマッチすればバリバリ食ってくる。そのマッチ・パターンを探し出す面白さが魅力だ。