いよいよ人気ターゲット・カワハギの絶好機!

釣りにくいけど味は絶品…これがカワハギに夢中になる理由!

菱形の魚体にザラザラした表面、小さなオチョボ口……カワハギを紹介すると、およそ魚らしいくない形容になる。昔は一般にはヒラキのミリン干し程度しか知られていなかったが、最近はグルメブームで、釣りファン以外でも容姿を知っている人は多いはずだ。ほぼ本州の北から南のどこにでも生息しているから、扱っている鮮魚店も意外と多いのだが。
この魚、釣りではかなりマニアックというか難敵である。まず、ヘリコプターのようにホバリングができる。つまり餌の動きと同調できるから、アタリが出にくい。そしてオチョボ口。口径が小さく、しかも中に鋭く硬い歯があり、それで餌を吸い込むから、異常にハリ掛かりしにくい。だから地方によっては寄せ餌をしてイカリバリのような物で引っ掛けるような太っ腹な釣り方もあった。

それだけ釣りにくい魚なのだが、困った(?)ことに大変美味しい。もちろん身も旨いが、秋から冬にかけて内臓に貯め込むキモ(肝)は絶品。有名なアン肝を凌ぐかとさえ言われる珍味なのだ。こうなると釣り人としては、逆に「なんとかしてやろう」という意欲が湧く。そして、船釣り先進地域の三浦半島久比里地区が、それら釣り人の意を汲んで乗合船を始め、マニアックながらターゲットの地位を確立していく。さらに昨今のメタルトップや極細PEラインなど釣り具の進化がより数釣りを可能にし、ビギナーでも若干太刀打ちできるようになり、人気も全国区になった。このため、現代のカワハギ釣りは久比里など関東で行われているアサリ餌の胴突き釣りが全国でも定番メソッドとして認知されている。

さて、このカワハギ、一年中狙えるターゲットだが、最盛期と言われるのは秋から初冬。温暖期に産卵も含めて浅場に散っていたカワハギは、水温の降下とともに越冬支度を開始し、徐々に深め深めへと落ちてまとまった群れを成す。つまり釣り人にとっては釣りやすくなる。また、夏も捕食意欲は旺盛ではあるが、マダイなど他の魚と同様、秋からは越冬のため、より餌を漁る。これも釣りやすくなる一因だ。しかも、お目当てのキモは秋から冬にかけて越冬のために肥大。結局、一年中狙える魚ではあるが釣り人の熱が一層こもるのは秋以降のこれからということになる。

“難しくてマニアック”を連呼してしまったが、これからの時期はビギナーでも満足できる釣果を達成できる可能性がある。前述したアサリ餌の胴突き釣りには基本パターンがあるから、それを紹介しておくのでご参考に。上級者はこれら基本をベースにいろいろなオリジナルオプションで数を伸ばしていくのだ。

アタリが出たではなく、アタリを“出す”釣り

全国区になった関東流アサリ餌の胴突き釣りは大きく分けて「聞き釣り」、「宙釣り」、「タタキ釣り」、「たるませ釣り」の4種がある。これを基本に各自、その日、その時でバリエーションを加えて対処していく。前述したように餌盗り名手だけに、漫然とアタリを待っていては、まず餌を取られるだけ。こちらから積極的に操作をして、竿先にわずかでもアタリが出るように仕向けないと、釣果は上がらない。要は“釣れた”ではなくて“釣った”にしなければいけないジャンルだ。
人気ジャンルだけにタックルもかなり進化しており、楽しいカワハギライフを送るなら、やはり専用品で臨むのが無難だろう。竿は現在、各釣法にあったタイプに枝分かれしており、このため、ビギナーだと選ぶのに迷ってしまいがちだが、ほぼどのシリーズにもオールマイティタイプがラインアップされているので、まずはそれを選ぶとよい。リールも小型両軸タイプが定番(最近はスピニング仕様竿もあるが)で、道糸PE1号前後を100mも巻ければいい。こちらもハイスペックの専用品など多種あるが、ビギナーは、まずはミドルクラスでよいだろう。
当然、仕掛け類も日進月歩で多種多様。ベテラン陣には自作の人もいるが、やはり最初はメーカーのセット品などが無難。クオリティも高く、名人級でも愛用する人は多い。ひとつだけ注意したいのは、竿を上げてハリ掛かりさせるため、胴突き仕掛けはハリ先を上向きにセットしよう。現在はハリ付きハリスと幹糸の接続に、便利な自動ハリス止めを使う製品が多いが、これらは上向きにセットできるようになっている。ちなみに幹糸とハリスの直結タイプもあり、愛好者もいるが、糸にヨレが出来たりすると仕掛けを全交換しなければならず、ビギナーは手間取ってしまう。もう一つ、カワハギ釣りに餌のアサリ付けは非常に重要。ハリから垂れていたりすると、いくら繊細な釣りをしてもアタリが出てくれない。いろいろな方法があるが、オーソドックスな方法を図にしておくので、参考にしてほしい。
では以下に基本の釣り方バリエーションを簡単に説明しておくが、あくまでベーシックで他の釣り方を各自で発明している人もいる。ただ、大体はこれら基本の組み合わせで、その日のパターンを考えているファンが多い。なお、とにかく餌付け、投入、探り、仕掛けを回収して打ち直しなどの一連の動作のテンポが早い釣り。餌や替えバリの置き場所や竿受けのセットなど、釣り座周りのセッティングも重要で、グッズも豊富に販売されている。まずは釣行して、どんなスタイルで実釣しているかを見るだけでも参考になる。

聞き釣り

カワハギ釣りの基本中の基本で、一般的な胴突き釣りと変わらないので、これでアタリが出てくれれば、いいに越したことはない。釣り方として、幹糸(縦糸)が張った状態で操作できるのは、アタリを出すうえで重要なことだからだ。だから、その日の釣り始めはまず、聞き釣りを試すという人も多い。これでアタリもないのに餌がすぐなくなればタタキ釣りへ、餌が残ってしまうようなら這わせ系のタルマセ釣りへ……などと対応をとるわけだ。

タタキ釣り

水温が高めの時期で、カワハギが高活性で動きがかなりよく、聞き釣りの速度でアサリ餌を漂わせている状態だと、全くアタリが出ないで餌が無くなるようなときに、よく行われる。こういうときは着底時にすでにカワハギが餌のそばにいるわけで、難なくアサリを盗られてしまう。それを防ぐために竿を5~10秒ほど激しくシェイク(上下)し、食い付けないようにする。これでカワハギは苛立つ。そこでピタッと竿の動きを止めてやると、待ってましたとカワハギが食い付き、アタリが出せるという寸法。昔は夏場など、ベラなど外道も多い時期に、外道対策としても多用されていた。ただし最近は温暖化の影響か、真冬でもやっている場合を見かけるので、ケースバイケースといえよう。

タルマセ釣り

活性が低い時によく使われる方法。低水温などでカワハギが底ベッタリなどの時、聞き釣りやタタキ釣りでは餌が食われない時がある。そこで仕掛けの幹糸および道糸を弛ませて、餌を底に這わせて少し待ってから聞き上げる。動きがあまり良くないカワハギが捕食し始め、少し経ったときに糸を張るのでアタリが出る。弛ませるときの幹糸の安定を考えて、カワハギ用の集寄(集魚板など)や中オモリを使うと這わせやすい。カワハギの活性によって、どのくらい這わせているかがカギ。なお、活性が高い時にも、這わせ時間を極端に短くすれば有効という意見もある。

宙釣り

現代のカワハギ―ブームが始まってから、注目され始めた釣り。生息場所は底付近と思われていたカワハギだが、条件によってはかなり海底から浮くことが分かるようになった。それらのカワハギはかなり高活性なので、ハリ掛かりさせる対象としてはおいしい。そこで、聞き釣りの要領で底ダチを取ってゼロテンションにしたあと、聞き釣りよりかなり上層(1mや2m)まで仕掛けを持って行き、オモリなど目立つ物を少し躍らせるなどして浮いているカワハギを寄せる。次いで竿を静止して待ち、突いてくるカワハギのアタリを聞き、合わせていく。ハイテクニックと思えるが、高活性の夏場などは、宙で静かに上下させておけば、枝スが張ってアタリは出やすいし、下の外道にも食われず済むので、ビギナー向きなどとも言う人もいる。ただし、どのタナで宙釣りをすればよいのかが分からないとお手上げ。その意味では状況を把握するスキルが必要となる。